【本】ボートの三人男

ボートの三人男 (中公文庫)

ボートの三人男 (中公文庫)

ヴィクトリアン男性三人組(と犬)が俺達働きすぎだから療養すべしと用意したボートで走り出す旅行記風のお話。

このお話での旅行そのものは淡々と進んでいき、特に殺人事件とかロマンスが起きるわけではない(水死体は出てくる)。
淡々と進む旅行を通じて、主人公である「僕」がテムズ河沿いの景色や町を詩的な表現で紹介する以外はあるある話を駄弁る箇所が大半を占めている。残りは僕および同行者のハリス・ジョージ・モンモランシー(犬)の奇行とかである。

私ははじめ「僕」が挙げるあるある話の現代通じっぷりというか現代風なノリに現代の作家さんがヴィクトリア朝時代を舞台にした話を書いたのかと思ったが、著者のジェローム・K・ジェロームは普通にヴィクトリア朝時代の人だったので驚いた。
語り部である「僕」を含めてしょーもないけどなんか憎めないな…といった人々がドタバタやってるのを読んでいると意外と癒されたな…と読了して少し経ってからジワジワ効いてくる本だった。

なお読んだきっかけはコニー・ウィリスのオマージュ作品(というか作中で本作が追求されている)の「犬は勘定に入れません
タイムとラベル技術が確立された近未来。主人公の史学生は歴史調査に狩りだされまくって過労死寸前。それを見た先生に「もう休め・・・」とヴィクトリア朝に逃がしてもらうが…。
という話で、明るい気持ちになれるアドベンチャー作品なので大変オススメである。

同氏の「ドゥームズデイ・ブック」も「犬」と同じ世界が舞台になっているが、こちらはユーモアなセリフ回しでひでえことしやがるのでメンタルに余裕があるときにオススメ。