遺乞いの場

本・映画・展覧会などの感想を書いています。

【本】都市―ローマ人はどのように都市をつくったか

都市―ローマ人はどのように都市をつくったか

都市―ローマ人はどのように都市をつくったか

古代ローマの都市建築を、架空の都市を一から作り上げていく過程を通して解説していく。大判本で、紙面いっぱいにエグい描き込みの手描きイラストが広がっている。

アウグストゥス帝の時代、皇帝が「よっしゃ都市作るか!」と言い出すところから話がはじまり、送り込まれた技師達が都市を作る土地を選定する…と本当に一から作りはじめる。

彼らはまず、想定する最大人口など作る都市の要件から決めている。要件が決まったら土地を決め、レイアウトを決め(将来作る予定の施設の場所もここですでに決まっている)、仮の宿営地を作ったら城壁を立て、道を引き上下水道を引き…とどんどんインフラを整えていき、市場や公共の娯楽施設も作っていく。
絵も豪華だが、計画から建築の現場まできちっと計画的に物事が進んでいく几帳面さがかなり面白い。私が最近シムシティスマホ版で作っている街は、とりあえず作れるものを片っ端から適当に配置した結果計画性皆無の魔都になりつつあるのに。

建物の外観だけでなく、内装や断面図を使って構造を説明したり、建てる所から話し始めて測量など建築技法も説明している。更に建築後に市民がどのように使って生活していくのかまで描かれている。
また、注釈が随分丁寧なので正直古代ローマ全然知らんわという人でも読める大変親切な本。

古代ローマの断面図ものというとフルカラーの図解 古代ローマがあるが、これはローマ市にあった有名な建物そのものを紹介するものなので、都市計画や建築技法を語る本書とは観点が異なる。どちらも資料としても読み物としてもすごく有用だし、大変オススメ

図解 古代ローマ

図解 古代ローマ