遺乞いの場

本・映画・展覧会などの感想を書いています。

【美術展】和巧絶佳展

panasonic.co.jp
現代の若手工芸家達が伝統の手法で現代の感性を表現していて、文脈を知らない人でも一目でで楽しめる美術展だ。

会場は東京・新橋駅のすぐ近くのパナソニック留美術館。
銀座からちょっと外れた静かなエリアで、有楽町駅を挟んだ反対側には三菱一号館美術館がある。

出品作品は多岐に渡るため、特に気に入った工芸家の作品を取り上げようと思う。私はひかり物が好きなので、キラキラ光る作品に惹かれがちだった。
※写真は自分で撮影したもの。全作品撮影可とのこと

池田晃将さんの作品

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黒い図形に並ぶ輝く数列!!SF映画やアニメで見た奴!!!!!!と興奮してしまう作品群である。
数列で彩られたもの以外も、あのプリント基板みたいなSF柄(?)を模したものもあってじっくり見るのが楽しい。光の当たり加減でキラキラと輝いて大変美しくかっこいい。
個人的に資格や三角などの単純な図形が好きなのでそれも楽しかった!

山本茜さんの作品

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ガラスの中に金箔で描かれた柄が閉じ込められている。
見る角度によってガラスの反射や色合い、金箔の見え方が変わって、色々な角度から眺めながらいつまでも見ていたくなる美しさだ。ガラスの形も様々で、単純な図形の中に驚くほどの工夫が込められている。
作家さんのウェブサイトに作品ギャラリーがあるので是非見ていただきたい。
akane-glass.com

橋本千毅さんの作品

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螺鈿と平文による輝きが美しい、非常に繊細な作品だ。
上から見たときの蓋の装飾にうっとりしてから視線を下げると、側面の繊細で均等の取れた柄に驚く。
パッと見ると本展覧会に出品された作品の中でも「伝統的」に見えるが、眺めていると現代の感性にも理解できる美しさを持つことがわかる。手元において毎日を共にしたくなる愛らしさがある。

見附正康さんの作品

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初めに見たときは「コンピュータグラフィックを活用した図柄作りみたいな感じなのかな?」と思ったが、まったく違い、すべて手作業で描かれている。しかも下絵は作らないそうだ(会場入口の解説動画より)。
…え!?となる細かさと正確さだ。柄のデザインはオリジナルでどの様式にも属さない。これは製作者にしか作れないものだという事を、お皿一枚で伝えてくるパワーには圧倒される


形も作りも多岐にわたる。お気に入りの作品がきっと見つかるオススメの美術展だ。
パナソニック留美術館すぐ近くには浜離宮恩賜庭園があるので気になっていたが、ミュージアムショップで本を買いすぎたので今回は退散した…。